2017-03

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『12星座の恋物語』 角田光代&鏡リュウジ  新潮文庫 - 2013.07.23 Tue

占星術では12パターンで分類される星座。
わたしは水瓶座である。

水瓶座の恋物語の一文の中に

「人の数だけしあわせの定義があり、人の数だけ恋愛の種類がある。
世の中には、
自分のものではない言葉、
自分のものではない正解、
自分のものではない定義
で満ちています。
どこかのだれかが勝手に決めた幸福なり恋愛なりを
自分にあてはめようとしても、
苦しいだけなんですね。
私たちは、幸福や恋愛や友情や、
その他もっとこまごましたいろんなことの、
自分だけの正解をさがし求めている。
それが生きていくということなのかもしれないと、
少し大げさに考えたりしています。」

「風変りくん 水瓶座の彼」の章での一文。
会わなくなって十年の月日を経て、
彼の誕生日に向けて書いた手紙。


自分だけの正解をさがし求めている、皆それぞれの人生で。
私の正解があるように、
他の誰かの正解とも共存して生きていく。大切に。



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「最後の恋 つまり、自分史上最高の恋」 新潮文庫 - 2013.03.23 Sat

この文庫の帯には「こんな男と恋したい。」とある。

著者7人の方々によるアンソロジー。
伊坂幸太郎著の「僕の舟」を読む。

70手前の女性が過去に銀座で出逢った男性との
四日間の逢瀬を想いだす。
夫が入院する病室で。

そしてその男性が今頃どうしているのか
知りたくなって調べることにする。

それがもうここで言葉にするのが
苦しくなるほどのロマンチックなお話なので
ぜひ読んでみて下さい。

「こんな男と恋したい。」


村上春樹の自由 『文学フシギ帖』 池内紀 著から - 2013.02.20 Wed

「村上春樹の自由」と題して
池内紀氏が述べている文章を読んだ。

短編『蛍』
「彼女の目は不自然なくらいすきとおっていた。
彼女がこんなにすきとおった目をしていたなんて
僕はそれまで気づかなかった。
ちょっと不思議な気のする独特な透明感だった。
まるで空を眺めているみたいだ。」

「時々彼女は何の理由もなく、
僕の目をじっとのぞきこんだ。
そのたびに僕は悲しい気持ちになった。」

劇的要素は磨いたガラスのように
拭いとられており、
そしてきれいなガラスを通すように
見えてくるものがある、と。
ひとことでいうと関係であって、
「対」の関係。

静止と動き
こちら側とあちら側
生と死
始まりと終わり

村上春樹が経営していたスナックの
カウンターの内側から見た景色。
アイスピックで氷をわりながら。
話し手ではなく聞き役として。

カウンターから向こうへは手を伸ばせば
すぐに向こう側に届く距離ではあるけれど
やっぱりすんなり届く距離でもなく。

急に「蛍」を読みたくなって
部屋の本棚の奥の方にしまいこんであるのを
読んでみた。久しぶりに。

「蛍が消えてしまったあとでも、
その光の軌跡は僕の中に長く留まっていた。
目を閉じた厚い闇の中を、
そのささやかな光は、
まるで行き場を失った魂のよに、
いつまでもさまよいつづけていた。
僕は何度もそんな闇の中にそっと手を伸ばしてみた。
指は何も触れなかった。
その小さな光は、いつも僕の指のほんの少し先にあった。」

閉店後、カウンターから出て、
誰もいないしんとした店の中で
テーブルを拭きながら
村上春樹が感じた寂しさと自由さみたいなものを
思ってみた。

ほんの少し先、いつも。ほんの、その距離











『ことばの食卓』 武田百合子著 画・野中ユリ ちくま文庫 - 2012.11.05 Mon

著者の武田百合子さんは1925年生まれ。故武田泰淳氏夫人。
この著書は食べものに関するエッセイである。

ふとした瞬間に自分でも
どうしてこのきっかけで
思い出したのかわからないほど
その情景を細部までありありと
思い出すことがある。

この本のなかの一章「枇杷」は
夫が枇杷を食べているところが
枇杷の汁が手首へ流れ、
目尻には涙のような汗までたまり
二個の枇杷を食べ終わるまでの
夫を細かくうつしだす。

この瞬間をしっかり覚えておこうとは
思っていなかったであろう景色や言葉。
そのようなことを
今の自分は思っているのであるが
もしかするとその当時に遡ると
強く印象のある出来事であったり
とても好きなところであったりしたのだろう。

著者もどうということもない思い出なのに。
と語る。そして、
あの手の形は父親譲りだと言っていたと
夫の手の形を思い出す。枇杷を食べていた梅雨晴れの午後。











『日本近代短篇小説選 昭和篇1』  岩波文庫 - 2012.08.22 Wed

近代日本を小説の中に綴り、
現実の世界を虚構の世界に絡めとって
現実の奥深くに隠された真相を描こうとした
近代小説の短篇小説16篇。

文学を読むことによりその時の
時代の空気を知る。
歴史の資料を読むのとは違う視点で、
小説家にしか感じることが出来ない
言葉にせずにはいられなかった思いを
知ることができます。

昭和篇1には昭和2年~17年のものが収録されている。
芥川の死が大正文学から昭和文学への
転換を徴づけるメルクマールとなることはいうまでもない、とある。
芥川は自殺の動機について
「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」
ということをいったが、
昭和文学はこの「ぼんやりした不安」を追認し
芥川の死をいかに乗り越えてゆくかということを
命題として出発したといってもいい、とのこと。


堀辰雄の「死の素描」が収録されていた。
堀辰雄(明治37年―昭和28年)東京生まれ。
室生犀星、芥川龍之介に師事した。
コクトー、ラディゲらのヨーロッパ文学の影響を
多分に受けた作風で
モダニズム文学の代表的作家として認められた。
「死の素描」は昭和5年5月「新潮」に発表されたとのこと。
若い頃から肺結核に冒され闘病生活を
余儀なくされた堀は、生涯を死と戯れるように送った、とある。

『死の素描』

僕は、ベッドのかたわらの天使に向かっていった。
「蓄音機をかけてくれませんか?」
この天使は、僕がここに入院中、僕を受持っているのだ。
彼女は白い看護婦の制服をつけている。
「何をかけますか?」
「ショパンのノクタアンを、どうぞ―」
蓄音機の穴から、一羽の真赤な小鳥がとび出して来て、
僕の耳の中に入ってしまう。
それからその小鳥は、僕の骨の森の中を自由にとびまわり、
そして最後に、僕の肋骨の一つの上に来て、とまる。
それが羽ばたくたびごとに、僕は苦しく咳きこむのだ。
僕はこの小鳥を眠らせるために、吸入器をかけさせよう・・・・・。
天使は僕の夢をよく見抜いていて、それを調節する。
それが彼女の役目なのだ。
彼女は、微笑しながら、僕の聴いているレコオドを取替えてしまう。



どんな苦しみも
ロマンチックな痛みにかえようと
小説の中に描きだす情熱。
生を味わいつくす決意。
小鳥のように軽やかに
描きだしていた。






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