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作家 田中慎弥氏の「狐うどん」 - 2012.06.23 Sat

新聞に田中慎弥氏の食べることに関するエッセイが載っていました。

タイトルは「狐うどん」
田中慎弥氏自身は食べものは要するにただ食べればいいのであり
それについて能書きは不要と思っているようです。それでも
原稿料ほしさにもっともらしく筆を進めるとは、あいた口が塞がらない。
と自分のことについて述べています。

谷崎潤一郎の『蘆刈』。
過去の作家は食べる場面をどのように描いて
原稿料を稼いできたのかと語り、
田中慎弥氏はこの作品に触れています。

語り手は夕方、後鳥羽上皇の離宮であった水無瀬神宮へ散歩に出て
上皇の人生を思ううちに日が落ち、入ったのがうどん屋。
「酒を二合ばかり飲み狐うどんを
二杯食べて出がけにもう一本正宗の罎を
熱燗につけさせた」。
狐うどんを二杯とはなんだか妙な夕食に思える。
谷崎の食い意地が語り手に乗り移って
同じものを続けて食べさせたのか。
と述べています。
油揚げで飲んで、シメにうどん、だとしても、
それを二回とはどういう腹具合なのかと。

谷崎自身が食べることに並みではなかったことについて語るため
田中慎弥氏は『陰翳礼讃』についても触れ
味そのものよりも「日本料理は明るい所で白っちゃけた器で
食べてはたしかに食慾が半減する。」という文章にある通り、
食に関する美意識のありようを示している。
と述べています。飯に関して、
「一と粒一と粒真珠のようにかがやいているのを見る時、
日本人なら誰しも米の飯の有難さを感じるであろう」
と書いているのはちょっと大げさだ。
大げさなのが谷崎のよさでもあるのだが。
と田中慎弥氏は述べている。

「蘆刈」の語り手は、水無瀬川の中州に腰を下ろして、
うどん屋で調達した熱燗を飲み、大昔の遊女のことなどに
思いをはせているうちに、自分と同じように中州にうずくまっていた
不思議な男に出会い、その男の語る世界に引き込まれてゆく。
いるのかいないのかよく分からない人物。まるで狐に化かされるようだ。
あの狐うどんは、その前兆だろうか。

という結びの文の田中慎弥氏のエッセイ「狐うどん」。

『共喰い』は読みましたが、このエッセイはとっても好み。
谷崎潤一郎の『蘆刈』を読みながら
水無瀬川を眺めつつ「狐うどん」を食べたくなってしまいました。



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