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「西瓜糖の日々」 リチャード・ブローティガン著 藤本和子訳 河出文庫 - 2012.07.16 Mon



どこか脆いような、微妙な感じの平衡が保たれている、西瓜糖でできている世界「アイデス」。
「わたし」はアイデスのすぐ近くの小屋に住んでいる。

ここの物がたいがいそうであるように、
この小屋も松と西瓜糖と石でできている。
わたしたちは西瓜糖で心をこめて生活を築いてきた。
そして松の木と石の立ち並ぶいくつもの道を辿って、
わたしたちの夢の果てまで旅をしてきた。
わたしは寝台をひとつ、椅子を一脚、テーブル一台、
それにいろいろな物を納っておく大きな箱をもっている。
夜になると西瓜鱒油で燃えるランタンもある。

わたしは窓の外、野原と松林、そして「忘れられた世界」へと
連なる町を眺めた。
野原で草を食む牛たち、小屋の屋根屋根、
「忘れられた世界」の大きな「山々」、
どれもこれも埃のようだった。空気までも灰色だ。

「アイデス」では、太陽は毎日、違った色で輝くのだ。
どうしてそうなのか、誰にもわからない。
わたしたちはせいいっぱい、いろいろな色の西瓜を育てる。

月曜日 赤い西瓜
火曜日 黄金色の西瓜
水曜日 灰色の西瓜
木曜日 黒色の、無音の西瓜
金曜日 白い西瓜
土曜日 青い西瓜
日曜日 褐色の西瓜

黒色の、無音の西瓜は切っても音がしない、
食べると、とても甘い。
そういう西瓜は音を立てないものを作るのにとてもいい。
以前に、黒い、無音の西瓜で時計を作る男がいたが、
かれの時計は音を立てなかった。

西瓜糖の世界に対置する「忘れられた世界」。
西瓜糖に満ちている分、西瓜糖の世界からはなにかが欠落している。
西瓜糖は「過度な感じ」とは無縁。
西瓜糖の世界は甘くて、それでいて残酷。


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