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「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」 村上春樹 著 新潮文庫 - 2012.07.18 Wed

アイラ島、島でいちばん高い山の上に上がっても、
目に見えるのは荒涼とした海原と水平線と空と、
よそ見ひとつせずに急ぎ足でどこかに向かって飛んでいく
素気のない灰色の雲だけらしい。

冬のあいだはとにかくよく雨が降り、
風が強く、なにしろ寒い。
そんな季節を楽しんでしまおうと
ひとりで島にやってきてコテージを借り、
誰に邪魔されることもなくしずかに本を読む。
ウィスキーとグラスをひとつテーブルの上に載せる。

アイラ島は、そこで蒸留されるウィスキーのうまさにより
もっともよく知られている。
シングル・モルト・ウィスキー。

村上春樹氏はアイラ島を訪れ七つの蒸留所の
この七つのシングル・モルト・ウィスキーを、
地元の小さなパブのカウンターでテイスティングしてみた。
気持ちよく晴れた六月のある日の、午後の一時に。

アードベック
ラガブリン
ラフロイグ
カリラ
ボウモア
ブルイックラディー
ブナハーブン

それぞれの味をことばで語った。
村上春樹氏は、
もし僕らのことばがウィスキーであったなら
僕は黙ってグラスを差し出し、あなたはそれを受け取って
静かに喉に送り込む、それだけですんだはずだ。
僕らはことばがことばであり、ことばでしかない世界に住んでいる。
でも例外的に、ほんのわずかな幸福な瞬間に、
僕らのことばはほんとうにウィスキーになることがある。

ことばをひとつ残らず受け取りたくて
わたしはボウモアを飲んだ。




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