2012-12

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名前のない気持ち - 2012.12.26 Wed

言葉が好きであることが
音楽を聴き
美術を観て
映画を観て
写真を見て
本を読む
空を見上げる
その理由。

わたしが思っている
上手く言葉に出来ない気持ちを
見せてくれるようなものを
みつけるために。
言葉にできる瞬間。

みつけられた喜びや感動。
それは一瞬のものである。
常に気持ちは変っていくから。
そしてまた新たな言葉さがしへと
でかけるのである。


ユリイカのジョン・ケージの特集を読む。
熊谷謙介氏が書かれた「マラルメの星座、ケージの星群」

ケージは
「私は様々な要素の間にある関係を受け入れることはできます、
ちょうど星を眺めていて、
星のグループを発見して大熊座と
名づけるように。
その時私は星々から対象物を作りだしているのです。
現実へと、本質へと、
まだ完全に一つの星座となってはいない星座へと
戻らねばなりません。
それはまだ対象物になっていない。
星座から対象物をつくり出すのは、
その構成要素の間に私が設定する関係なんです。
しかしこの関係を設定しないこともできるし、
星々は互いに離れてはいるけれども近くにあり、
ただ一つの星座として集まっているようなものだと
考えることもできます。
そのときはただ、
ある星の群れがあるだけです。」

ケージにとって、
星の群れは星座として固定された途端にオブジェへと
変ることのないものへと還元されてしまう。
このような反復と変化のサイクルから脱け出すためには、
秩序化せずに星々をありのままに見なければならない。
音に関して言えば「ふと耳を傾けること」
「自分の耳を即座に開き、
自分の思考が、
ある音を何か論理的なものや、
抽象的なもの、
あるいは象徴的なものに変えてしまう前に、
突然その音を聴くこと」
が必要なのである。


マラルメは、
いわば人間が世界を把握する可能性を手放さない。
すべては偶然の積み重なりであることを認めつつも、
近くに見える星と星の間の距離が実際には何光年も
遠くに離れていることを知りつつも、
人間がそれらを関係づけて星座とする想像力を否定しない。
そこで生まれる大熊座のような星座は、
いわば地上に見られる生物のシュミラークルを
天空に投射したものである。
しかしそれ故に、星座は言語と同様に
世界をオペレーションする特権的なものとなるのであり
とりわけ北斗七星は航海者にとってシュミラークルであれ
ただ一つの不動点、支えを示すものとなるのである。



夜の星を眺めつつ赤ワインを飲んで
星の輝きと酔ってみたい。








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『くじけそうな時の臨床哲学クリニック』 鷲田清一 著 ちくま学芸文庫 - 2012.12.22 Sat

小さな街の路地裏に
灯りが夜になると
円い月のように入口を教えてくれる
そんな場所に佇む哲学クリニック。

扉を開けて
中に入るとほっとするような
温かい時間が流れている。
受付には

「それはこういう問題じゃないの?
じゃあこんなふうに考えることもできるんじゃない?
というふうに、いくつかの処方箋を出せたらと思っています。
もっとも薬を出す側が、クライアント以上に深く病に
かかっている可能性もありますので、服用するばあいに
いつもちょっと懐疑的であってください。
ついでに治るということじたいにも懐疑的であってくだされば
効能はすこし増すかもしれません。
臨床哲学クリニックは治療することも
疑ってかかるヘンな病院です。
ただ、
ずっと、
あなたの問題もわたしの問題として、
あなたといっしょに考えつづけることは
約束します。」と書かれている。

約束します、
その言葉に安心する。

鷲田氏がいっしょに考えてくれる。

幸福を実感できる瞬間ってありますか?
と聞いてみる。
「幸福はいろんなところで感じられるけど
それがいちばんストレートに感覚として
感じられるのは、口なんです。

口にはいろんな喜びが全部ある。
身体の各部、たとえば胃は
たいてい一つか二つの機能しかもっていないけれど、
口だけは
食べる、
飲む、
話す、
笑う、
歌う、
キスする......、
といっぱい機能を持っている。

おいしい物を食べる喜び、
おいしい物を飲む喜び、
人とおしゃべりする喜び、
それから泣いたりわめいたりする感情表現も。
キスしたりする愛情表現も。」

なるほど。

帰路につく。
四つ折りにした少し厚みのある
封筒に入った手紙のような処方箋。

自分というもの
自分というもののかけがえのなさは、
自分のなかをのぞき込んでも
なかなか見えてこない。
それよりもむしろ、
自分がいまここにいるということが、
だれにとって、
どういう点で意味のあることなのかを
考えることのほうがたいせつだ。

希望の修正
希望のない人生というのはありえない。
そして希望には、
遂げるか、
潰れるかの
二者択一しかないのではない。
希望には編みなおすという途もある。
というか、たえず自分の希望を編みなおし、
気を取りなおして、
別の途をさぐってゆくのが人生というものなのだろう。
人生とはそういうふうにストーリーをたえず
語りなおしてゆくプロセスなのかもしれない。







忘れもの - 2012.12.08 Sat

12月、今年もあと少しでおわり。
来年も朝がきて昼が来て夜が来て
一日は24時間あり、日常はある。

なのに、
行き忘れた場所、
見忘れたもの、
会い忘れた人、
読み忘れた言葉、
渡し忘れたもの、
受け取り忘れたもの、

考えてしまう。
そして今までの生き方などを。

部屋の大掃除をすると
こんなところに、と
うれしくなるものが
すっかり忘れていたものが
見つかったりする。

心の大掃除もして、
部屋の大掃除もして
忘れていた大切なもの
思い出して見つけてみようと
思ったのでした。


せつない気持ちを味わいながら。





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