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『日本近代短篇小説選 昭和篇1』  岩波文庫 - 2012.08.22 Wed

近代日本を小説の中に綴り、
現実の世界を虚構の世界に絡めとって
現実の奥深くに隠された真相を描こうとした
近代小説の短篇小説16篇。

文学を読むことによりその時の
時代の空気を知る。
歴史の資料を読むのとは違う視点で、
小説家にしか感じることが出来ない
言葉にせずにはいられなかった思いを
知ることができます。

昭和篇1には昭和2年~17年のものが収録されている。
芥川の死が大正文学から昭和文学への
転換を徴づけるメルクマールとなることはいうまでもない、とある。
芥川は自殺の動機について
「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」
ということをいったが、
昭和文学はこの「ぼんやりした不安」を追認し
芥川の死をいかに乗り越えてゆくかということを
命題として出発したといってもいい、とのこと。


堀辰雄の「死の素描」が収録されていた。
堀辰雄(明治37年―昭和28年)東京生まれ。
室生犀星、芥川龍之介に師事した。
コクトー、ラディゲらのヨーロッパ文学の影響を
多分に受けた作風で
モダニズム文学の代表的作家として認められた。
「死の素描」は昭和5年5月「新潮」に発表されたとのこと。
若い頃から肺結核に冒され闘病生活を
余儀なくされた堀は、生涯を死と戯れるように送った、とある。

『死の素描』

僕は、ベッドのかたわらの天使に向かっていった。
「蓄音機をかけてくれませんか?」
この天使は、僕がここに入院中、僕を受持っているのだ。
彼女は白い看護婦の制服をつけている。
「何をかけますか?」
「ショパンのノクタアンを、どうぞ―」
蓄音機の穴から、一羽の真赤な小鳥がとび出して来て、
僕の耳の中に入ってしまう。
それからその小鳥は、僕の骨の森の中を自由にとびまわり、
そして最後に、僕の肋骨の一つの上に来て、とまる。
それが羽ばたくたびごとに、僕は苦しく咳きこむのだ。
僕はこの小鳥を眠らせるために、吸入器をかけさせよう・・・・・。
天使は僕の夢をよく見抜いていて、それを調節する。
それが彼女の役目なのだ。
彼女は、微笑しながら、僕の聴いているレコオドを取替えてしまう。



どんな苦しみも
ロマンチックな痛みにかえようと
小説の中に描きだす情熱。
生を味わいつくす決意。
小鳥のように軽やかに
描きだしていた。






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