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村上春樹の自由 『文学フシギ帖』 池内紀 著から - 2013.02.20 Wed

「村上春樹の自由」と題して
池内紀氏が述べている文章を読んだ。

短編『蛍』
「彼女の目は不自然なくらいすきとおっていた。
彼女がこんなにすきとおった目をしていたなんて
僕はそれまで気づかなかった。
ちょっと不思議な気のする独特な透明感だった。
まるで空を眺めているみたいだ。」

「時々彼女は何の理由もなく、
僕の目をじっとのぞきこんだ。
そのたびに僕は悲しい気持ちになった。」

劇的要素は磨いたガラスのように
拭いとられており、
そしてきれいなガラスを通すように
見えてくるものがある、と。
ひとことでいうと関係であって、
「対」の関係。

静止と動き
こちら側とあちら側
生と死
始まりと終わり

村上春樹が経営していたスナックの
カウンターの内側から見た景色。
アイスピックで氷をわりながら。
話し手ではなく聞き役として。

カウンターから向こうへは手を伸ばせば
すぐに向こう側に届く距離ではあるけれど
やっぱりすんなり届く距離でもなく。

急に「蛍」を読みたくなって
部屋の本棚の奥の方にしまいこんであるのを
読んでみた。久しぶりに。

「蛍が消えてしまったあとでも、
その光の軌跡は僕の中に長く留まっていた。
目を閉じた厚い闇の中を、
そのささやかな光は、
まるで行き場を失った魂のよに、
いつまでもさまよいつづけていた。
僕は何度もそんな闇の中にそっと手を伸ばしてみた。
指は何も触れなかった。
その小さな光は、いつも僕の指のほんの少し先にあった。」

閉店後、カウンターから出て、
誰もいないしんとした店の中で
テーブルを拭きながら
村上春樹が感じた寂しさと自由さみたいなものを
思ってみた。

ほんの少し先、いつも。ほんの、その距離











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