2017-09

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「入門経済思想史 世俗の思想家たち」ロバート・L.ハイルブローナー著 - 2012.04.14 Sat

「国富論」の著者アダム・スミス氏はぼんやり教授だった?人物像と共に経済学者たちの思想がどのように次の時代にリレーされたのか連作短編集のごとくドラマティックに描かれています。
経済学と見るだけで、頭の中の思考の道路が通行止めになり
迂回路もなくUターンするわたしが
書店でそのタイトルに惹かれるままに購入しました。

そして帰りの電車の中でさっそく読み始めると
序文のページで著者がタイトルを決める時に
「経済学」いう言葉を使ったのでは
本の売れ行きが悪いことを知っていたので
別の言葉を見つけるのに
知恵をしぼったとありました。
わたしがこの本に惹かれた理由がわかったのです。
「思想」という言葉にはなぜだか胸がときめくのです。
タイトルにこだわったように内容にもこだわりが感じられ
渋滞もなくスムーズに、たまにはパーキングによって
ソフトクリームを食べながらなんて雰囲気で愉しく
経済学の思想をめぐるドライブを満喫しました。

まず最初にアダム・スミスが取り上げられています。
1760年代にイギリスを旅した人は、
おそらくグラスゴー大学のアダム・スミスという人物のことを
耳にしたことだろう。スミス博士は有名ではないにしても、
よく知られた人物だった。ヴォルテールは彼のことを
伝え聞いていたし、デーヴィット・ヒュームは彼の親友だった。
彼のぎこちないが熱心な講義を聞くため、はるばるロシアから
旅してきた学生もいた。学問的な業績で有名なだけでなく、
スミス博士は一風変わった人物としても知られていた。
たとえば、彼の放心癖は有名だった。
あるとき、友人と熱心に議論しながら歩いていて革なめし用の穴に
落ちたことがあった。また、パンとバターで自己流の飲み物を作ったが
これはいままで飲んだなかで一番まずいお茶だと述べたとのことである。

エピソードも盛り込まれ、幼少期のことや
どんな学生であったのかも語られています。
1751年、まだ28歳にもなっていなかったスミスが
グラスゴー大学の教授になってから、どんな人物に出会い語り合い
どのような生活のなかで「国富論」を12年もの歳月を要して
書き上げたかについて語られています。
そのうえで、「国富論」とはどんな書物なのかと述べられているので
スミス博士がぐっと身近に感じられた後なので、とても理解しやすいです。

「もし、大英帝国のどの領土にせよ、帝国全体を
支えるために貢献させられないというのなら、いまこそ大ブリテンは、
戦時にこれらの領土を防衛する経費、平時にその政治的、軍事的施設を維持する
経費からみずからを解放し、未来への展望と構図とを、
その国情の真にあるべき中庸に合致させるよう努めるべき秋なのである」

の「国富論」の記述を引用し、著者のハイルブローナーは
アダム・スミスほど完全に、自分の時代を取り込んだ経済学者は、
二度と現れないかもしれない。確かにこれほど落ち着いた、
これほど権威を重んずる、これほど憎悪とは無縁な鋭い批判力をもつ、
そしてこれほど空想的ではなく楽観的な者はだれもいなかったと
語っています。
スミスは1790年に没し、キャノンゲートの教会墓地に埋められ
その控え目な墓碑には、「『国富論』の著者、アダム・スミスここに眠る」
と記されているとあり、これ以上に永続性のある記念碑を思いつくことは困難であろう。
と著者は語り、「アダム・スミスのすばらしい世界」の章は終わります。
そして「マルサスとリカードの陰鬱な予感」と題した次の章に続くのです。
アダム・スミスにとっては社会は、一つの大きな家族だったが、
リカードにとっては社会は内部分裂したキャンプだったと述べられ
「国富論」以後のイギリスの時代でうまれた経済学の思想について語られます。
時代を追いながら前の章で紹介された経済学者にどんな影響を受け
その思想に至ったかということがわかり、思想の変化がわかりやすいです。
社会主義者たちの夢やマルクスが描きだした体制
ヴィクトリア期の経済学の異端、ヴェブレンの描く野蛮な世界
ケインズの打ち出した異論、シュンペーターのヴィジョンと
歴史を形成する思想を巡る旅は続きます。

こうして一冊の本の中で経済学者たちを読むことが出来る事で
この本に名を連ねた経済学者たちそれぞれが
ロマンを持って世の中を自分のテーマとして描き
自分の時代にその思想が受け入れられず挫折しても
次の時代に続く経済学者が共鳴しまたは反論して
次世代にその思想がどのように受けつがれ変化していったのか
感じる事ができます。

1953年の大学院在学中にこの本を書いた著者ハイルブローナー
が道案内の思想の旅は著者がお勧めする経済学書の
読書案内も掲載されています。
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● COMMENT ●

みどりのほしさん、こんばんは。

確かに、この作品の原題は
“The Worldly Philosoers”で
経済学では無く、哲学の本かと思いますよね。

この“The Worldly Philosoers”
ハイルブローナー意図とは、
異なる別の意味もあるみたいですよ。

kappamama さん、こんばんは。

書店では、経済学の名著のフェアのところに
置いてあり哲学書に近い味わいなので
読みやすそうと思って(^O^)。
とても面白かったです。

原題がハイルブローナー意図とは
異なる別の意味があるんですね。
知りませんでした。


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