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ドビュッシーとラヴェルの夜 - 2012.06.07 Thu

5月30日の夜、サントリーホールで公演された
NHK交響楽団のコンサートを聴きに行きました。

指揮者は準・メルクル氏。

演奏された曲はまず最初はドビュッシー(1862~1918)作曲の
バレエ音楽「カンマ」
1910年初め頃にカナダ生まれの女流舞踊家モード・アランから
委嘱されて、舞踊音楽として作曲された曲。
アランは、エロティシズムによって話題になった舞踊家。

軽やかな足取りで指揮者があらわれました。
一番最初の音の響く瞬間。待っている私もなんだか緊張します。
緩急がありバレエ音楽は聴いていて情景が浮かびます。
踊るカンマは雷鳴が轟いて最後には死んでしまう。
イングリッシュ・ホルンの音が嘆きの旋律に使われていました。

2曲目は「サクソフォンとオーケストラのための狂詩曲」ドビュッシー作曲。
作曲するにあたり試行錯誤したらしく
「この水の中にいるような楽器からもっとも斬新で、
最もうってつけの響きの混合を引き出そうと必死にもがく」1903年6月
「サクソフォンには、クラリネットのロマンティックな甘美さか、
サリュソフォンのちょっと粗野な皮肉っぽさか?
結局メランコリックなフレーズをつぶやかせることにしたよ…」1903年8月
しかし結局未完のままになり、ロジェ・デュカスが仕上げたそうです。

そのサクソフォンを吹くのは、須川展也氏。
音色はクラリネットのようにクラシカルですが、演奏する姿は颯爽で自由。
ロマンティックな甘美さとちょっと粗野な皮肉っぽさが混じり合い
皮肉っぽさは消え、粗野な部分が自由な爽やかさを思わせる感じです。
サクソフォンはクールな楽器だけれど
須川氏がサクソフォンに吹きこむ感情は温かい、
そんな音色のように感じました。

3曲目は「亡き王女のためのパヴァーヌ」ラヴェル(1875~1937)作曲。
原曲はラヴェルがパリ音楽院在学中に作曲したピアノ曲で、
芸術愛好家として有名なポリニャック大公妃に捧げられているそうです。
公式には1902年の国民音楽協会のコンサートで
リカルド・ビニェスのピアノ独奏により初演され、
オーケストラ編曲版は1910年に作曲者自身によって作られました。

パヴァーヌとはスペイン起源の宮廷舞曲で、
ラヴェルはこの様式化された舞曲を好んで用いたそうです。
「亡き王女のための」という題名はいわくありげですが、
作曲者自身は、フランス語の響き
「パヴァーヌ・プール・ユヌ・アンファント・デファーント」に
ひかれて命名したと述べているそうです。
「亡くなった王女の葬送の哀歌ではなく、その昔スペインの宮廷で
小さな王女が踊ったようなパヴァーヌを喚起させるもの」としています。
薄く透けるようなオーケストレーションがなされているとありますが
ホールで聴いた演奏も繊細で儚げで私のイメージしている
「亡き王女のためのパヴァーヌ」でした。
冒頭のホルンの独奏は何度聴いても大好きです。

4曲目は前奏曲集 第一巻から「パックの踊り」「ミンストレル」
         第二巻から「水の精」「花火」
ドビュッシー作曲(マシューズ編)。

各12曲のピアノから成る2巻の『前奏曲集』は、
ドビュッシーが探究してきた精緻なピアニズムの一つの頂点であるそうです。
両巻とも数曲ずつ初演され、作曲家に一纏まりの曲集という意識が
それほど強くなかったこともうかがえるとのこと。
編曲者コリン・マシューズ(1946~)は、BBCやロンドン交響楽団
などからの委嘱作品も多いイギリスの現代作曲家で
この『前奏曲集』の管弦楽編曲シリーズは、2001年から始まり
全曲が完成しているとのこと。

5曲目はドビュッシー(アンセルメ編)「古代のエピグラフ」
原曲はピアノ連弾曲。友人の作家ピエール・ルイスの恋愛詩に基づく
付随音楽を再利用して6曲に仕上げたものだそうです。
編曲した指揮者のアンセルメは、自分で管弦楽化したかった
作曲家の気持ちを尊重し、編曲版スコアに
「クロード・ドビュッシーの思い出にこの作品を捧げる。
私はここで作曲家の望みを実行しようと努めた」と記しています。

第1曲 夏の風の神パンに祈るための
第2曲 無名の墓のための
第3曲 しあわせな夜のための
第4曲 クロタロンにあわせて踊る舞踊のための
第5曲 エジプトの女のための
第6曲 朝の雨に感謝するための

タイトルが素敵です。ドビュッシーの思い出の
美しさがうかがえる編曲です。

最後の曲はラヴェル作曲バレエ音楽「ラ・ヴァルス」
ラヴェルがロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフの依頼によって
1919年から20年にかけて作曲したものだそうです。
「オーケストラのための舞踏詩」という副題があります。

この曲のスコアには
「うずまく雲の切れ間から、ワルツを踊るカップルの姿がときおり垣間見える。
雲は少しずつ晴れてくる。スコア番号Aのところで、
輪を描きながら踊る人々であふれかえる広間がみえる。
光景はますます明るくなってくる。
シャンデリアの光はBのフォルティッシモのところで燦然と輝く。
1855年ごろの皇帝の宮廷」。
と説明がつけられているそうです。

ラヴェルはこの作品を「幻想的で破滅的な回転の印象」
と交じり合った「ウィンナ・ワルツへの一種の賛歌」である
と説明しています。

ホールでの印象は指揮者がワルツを踊るところが垣間見え、
演奏者が宮廷の広間いっぱいにワルツを踊り始め
観客の頭上にきらめくシャンデリアが燦然と輝き
観客もいつのまにかワルツを踊る人々と化し
サントリーホールに突如現れた皇帝の宮廷という感じです。

こうしてドビュッシーとラヴェルの夜は過ぎていったのでした。


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● COMMENT ●

うーん、素敵ですね!
N響、一度実際に聞いてみたいです。
ドビュッシー、ラヴェル。どちらも大好きです。
「亡き王女」なんかは点々とした光がパッと、ほのかに広がったかと思うと、すぐに消えて余韻を残していく、あの柔らかい名残惜しさが心に響いちゃいます。

慧さん、こんにちは。

わたしもドビュッシー、ラヴェル大好きなんです。
N響が奏でる「亡き王女」はとっても柔らかく、うっとりしました。
機会があれば、N響実際に聞きに行ってみてください。
とっても素敵な演奏なので。


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